「聴覚障害者福祉施策に関する公開質問状」へのご回答 2017年10月4日 公明党 1、「情報・コミュニケーション保障法」の制定について  社会のあらゆる分野において情報バリアフリー化を推進し、障がい者の社会参加の機会を拡大するには、障がい者の情報アクセスやコミュニケーション手段の保障が重要です。公明党は「情報・コミュニケーション法」の制定をめざし、法整備を含めた施策の充実について、関係省庁が連携して取り組みを進めるべきと考えます。 2、障害者差別解消法及び改正障害者雇用促進法施行状況について  障害者差別解消法等に基づき、障がいを理由とする不当な差別的取り扱いの禁止や、障がい者に対する必要かつ合理的な配慮の提供を徹底するなど、障がいを理由とする差別の解消に向けて着実に取り組むことが重要です。各行政機関や民間事業者等において情報の取得・利用・発信などアクセシビリティを向上するとともに、相談・紛争・解決の実施体制の充実や利用促進が必要と考えます。 3、身体障害者福祉法の聴覚障害認定基準について  身体障害者福祉法の設定基準は、各障害種別間のバランスを踏まえ、医学的・専門的観点から審議された結果に基づき定められているものと承知しています。国際的基準が示すところの軽度難聴のレベルと我が国の聴覚障害の認定基準である高度難聴のレベルに違いがあることを踏まえ、その基準の変更については、他の障害種とのバランスや聴覚障害者の生活実態等を考慮しながら検討を進めるべきものと考えます。 4、「盲ろう」という固有の障害について  「盲ろう者」が抱える固有の困難については、当事者の実態に配慮したきめ細かな対応が必要と考えます。身体障害者福祉法上、視覚障害と聴覚障害がある場合は障害等級の面では評価されていますが、盲ろう者の活躍と社会参加をさらに推進するため、「盲ろう者」の位置づけを含め教育や就労など各分野における必要な支援策について検討し、適切な対策を講じてまいりたいと考えます。 5、手話通訳者の身分保障について  手話通訳者については、各都道府県で養成が行われており、その雇用形態は、雇用主である自治体等が地域の実情に応じて定めているものと承知しています。そのため、公明党は地方議会において、手話言語条例の制定などに取り組みつつ、手話通訳者等の報酬アップなどを推進しているところであり、引き続き、正規職員雇用を含め、手話通訳者の行政窓口における配置などに取り組んでまいりたいと考えます。 6、@手話通訳士の資格を国家資格に格上げすること  意思疎通の役割を担う手話通訳士の資質の確保は重要な問題です。現在、都道府県が実施する手話通訳養成事業では、国が指定するカリキュラムにより通訳に必要な技能過程が盛り込まれているほか、日本手話通訳士協会が定めた「手話通訳倫理綱領」などの取り組みが進められているものと承知しております。国家資格化に向けては、関係団体の皆様の意見集約やそれを踏まえた教育課程のあり方など、引き続き、手話通訳者の資質の確保・向上に資する検討を進めていくべきと考えます。 6、A行政機関サービスの提供について  各行政機関等が事務・事業を実施する際には、障害者差別解消法に基づき、合理的配慮を行うとともに、ソフト・ハードの両面にわたり必要な環境を整備することが重要です。行政機関の窓口等において障がい者への配慮を徹底するとともに、行政情報の提供等に当たってはICT等の利活用も含めアクセシビリティへの配慮に努めるべきです。また、各種窓口における手話のできる職員の育成・配置、手話通訳者等の派遣・設置など、コミュニケーション支援を充実すべきと考えます。 7、政見放送への手話通訳・字幕付与について  公明党は、障がい者のための情報バリアフリー化の推進を掲げ、公共放送等の字幕化の普及推進や、選挙広報等の全文の点字化・音声コード化を推進しています。政見放送において、衆議院比例代表選挙では手話通訳の付与、参議院比例代表選挙では手話通訳・字幕の付与、衆議院小選挙区選挙では手話通訳・字幕を付与したビデオを放送することが可能です。昨年、公明党は自民党と共に、参議院選挙区選挙でも手話通訳・字幕を付与したビデオを放送することができるようにする公職選挙法改正案を取りまとめました。しかし野党の合意が得られず、残念ながら国会への提出には至りませんでした。今後も公明党は一層の情報バリアフリー化を推進していきます。 政見放送における字幕付与の完全実施は、是非行うべきと考えます。公明党候補の街頭演説には一ヶ所でも多く、手話通訳者の方の力をかりて、聴覚障がい者の方々に主張を伝えてまいりたいと思います。 8、聴覚障害者福祉施策について、特に取りくみたいことについて  視覚等に障がいのある方が日常生活のコミュニケーションや情報取得を円滑に行うための法整備(設問1に前掲)をはじめ、手話通訳者等の育成など意思疎通支援の充実を図るとともに、障がい者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、高齢化の対応を含めた福祉基盤の整備を推進します。また、2020年の東京パラリンピックの成功に向けてハード・ソフト両面にわたるバリアフリー化を推進するとともに、障害年金の改善など所得保障の充実に取り組みます。    以 上