「聴覚障害者福祉施策に関する公開質問状」へのご回答 2017年10月7日 幸福実現党 1、情報コミュニケーション法(仮称)の制定について  全ての人が社会生活を営む上で、その根本にあるコミュニケーションを保障することは、必要不可欠なものであると思います。教育や啓蒙活動によって、人間性の向上をめざしつつ、障害による情報・コミュニケーションの格差がなくなるように、コミュニケーション保障を充実させる法律も定め、全ての人に参加の機会を保障することが必要と考えます。 2、障害者差別解消法及び改正障害者雇用促進法施行状況について  行政サービスの利用などについて、聴覚障害者のみならず、国民すべての人が自由に利用できる必要があります。そのためコミュニケーション手段を駆使して一般的な対応ができる人を増やし、サービスの向上をめざすべきです。ただ、障害特性や相談の多様化により、より高度な専門性が必要とされる現状もあります。コミュニケーション保障をより広く普及させると共に、次に、高度な専門性を持つ人につなげられるよう、情報バリアフリーの徹底と人材育成に努めるべきと思います。 3、身体障害者福祉法の聴覚障害認定基準を国際的レベルに変更することについて  日本の定める障害の基準が聴覚障害者の生活実態からかい離している状況を踏まえ、身体障害者福祉法の聴覚障害認定基準を国際的なレベルに変更することについて賛同します。 4、「盲ろう」という固有の障害について  「盲ろう」を独自の障害種別として位置づけるとともに、教育を含めて盲ろう者に対するきめ細やかな支援を行うため、早急にガイドラインが必要と思われます。長期的な視点を持ちつつ、高齢化社会や障害の多様化に対応できるよう、自立と社会参加を進める盲ろう者向け通訳や介助者の養成事業拡充を行っていけるようにしていくべきです。 5、手話通訳者の身分保障について  聴覚障害者の社会参加における手話通訳者の重要性に鑑み、手話通訳者の8割以上が非正規雇用であり、業務内容の重さに比べて待遇が劣悪であるとの状況は改善すべきと認識しています。正規職員としての雇用を推し進めるなど、待遇改善に向けた支援策を講じることが必要かと思われます。 6、@手話通訳士の資格を国家資格に格上げすること  問5の回答とも関わりますが、手話通訳士の社会的地位の向上を図るためにも、手話通訳士の資格を現行の公認資格から国家資格に格上げすることは、検討に値すべきではないかと考えます。 6、Aすべての行政機関に手話通訳士または手話のできる職員を採用すること  内閣府が公表した「障害者に関する世論調査」では、障害を理由とした差別や偏見があると思う人は83.9%に上っている。また、障害者差別解消法で行政機関が障害者に対する「配慮」を提供することが義務付けられていますが、そもそもこの法律を知っている人は、同アンケートで21.9%に留まっています。聴覚障害者の社会進出を実質的な意味であと押しするためにも、行政機関による手話通訳士または手話のできる職員の採用を推し進めてくべきです。 7、政見放送の手話通訳・字幕付与について  現在のところ、政見放送においては、手話通訳による情報保障を考えていますが、字幕、要約筆記については、同時性の確保が難しいため、候補者が述べたいことをきちんと伝えられるための機器の開発も一層進めるべきです。また盲ろう者への通訳・介助については、当事者からの要請に対応する等の限界がありますが、これから制度として確立し、体制を整えられるよう、前向きに検討していきます。 8、聴覚障害者福祉施策について、貴党が特に取りくみたいとされていること  聴覚障害者を含め、障害を持つ人が幅広く社会参加できるように支援し、社会に貢献する生きがいを感じられる共生社会の実現を目指すべきと考えます。  2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、政府は共生社会の実現を目指すとしています。その趣旨には賛同しますが、これを単に「掛け声」に終わらせるのではなく、聴覚障害者の社会参加を実質的に推し進めるべく、情報・コミュニケーション制度の法整備と制定、手話通訳者の社会的な地位向上など、具体性のある政策の実施が必要であると考えます。  以 上